理事長所信・スローガン

2023年度 スローガン

Keep Tryin’
~青年よ、挑戦者たれ~

基本理念

感謝の気持ちを胸に
より良い未来に向かって
仲間とともに挑戦し続けよう

基本方針

地域開発室  地域愛ある共創と多様性ある共生の実現
未来創造室  交流を通じた組織の成長と時代を創る青少年の育成
人財育成室  地域貢献を担う向上心溢れる人財の育成
組織運営室  主体的な組織運営と戦略的な広報活動

はじめに


公益社団法人倉敷青年会議所
第68代理事長 土倉 佳奈

後悔、先に立たず
されど、未来への航海に発つ

あなたは後悔したことはありますか。
私は、あります。今までの人生を振り返ると後悔ばかりです。
しかし、一歩踏み出す勇気が明日へとつながります。

 私は1984年3月23日、い草製品の製造販売業を営む土倉家の3女として生を授かりました。父は厳しくもとても豪快な人で、母も厳しかったが温かく、私は何不自由なく育ててもらいました。幼少期、双子の姉にくっついてばかりで自分で何かを決断することがとても苦手でした。また、周りの目ばかり気にして、いつの日からか挑戦することに臆病になっていました。私が高校生の時、若さ故、両親を困らせたこともあり、その時初めて父の涙を見ました。しかし、私が高校3年生のある日、出張先で突然、父は亡くなりました。いつも居てくれることが当たり前だと思い甘えていた結果、きちんと謝ることができず後悔だけが今も残っています。やらなかったことに対する後悔は何も残りませんし何も変わりませんが、やってしまったことに対しては、逃げたくても正面から向き合うことでそこから前に進むことができます。
2014年、倉敷青年会議所に入会し、今では心から信頼できる仲間ができました。不安でも怖くても挑戦してみようという強い心を持つことができ、様々な機会に挑戦し続けてきました。その一方で、自分の未熟さから多くの人に迷惑をかけたこともあります。青年会議所を辞めることを考えたこともあります。しかし、逃げても何も得られるものはありません。後悔したのなら、ただ悔やむのではなく、そこから怖くても進んでいくことで多くのことを得られます。また、明るい豊かな社会の実現という共通の目的を持って一緒に運動や活動をしていくなかで、多くの人と出会い、多くの経験をして自分の器を大きくしていく、それが青年会議所だと私は考えます。今は小さな器を一生懸命磨くのではなく、失敗して恥をかいて、悔しくても歯を食いしばり進んでいくこと。自分と違う価値観の人を受け入れ認めることで少しずつ器を大きくしていくのです。これほどまでに成長と発展の機会を与えてくれる団体は他にはないでしょう。しかし、その機会を手にするもしないもそれはあなた次第です。自ら機会を掴まなければ成長にはつながりません。
2020年にJC宣言が時代にあわせて改訂され、誰もが生きたいように生きることができる社会、誰もが住み暮らし続けたいと思う多様で持続可能な活力に満ち溢れたまちの創造が求められています。一年間だけの事業に留めず、社会をより良く変える運動を起こし、その仕組みを作り上げることが必要であり、そのためには、青年会議所だけで運動を起こすのではなく、行政、他団体、企業や市民と連携・協働し、地域にインパクトを与え、地域から真に求められている運動を展開していく必要があります。
68年という長きにわたって引き継がれてきた先輩諸氏の想いを胸に素晴らしい未来の創造に向けて、一人ひとりが挑戦し自己研鑽し、地域のリーダーとして先頭に立って仲間とともに歩んでいきましょう。大切な仲間のために、愛するまちのために気概と覚悟、そして、笑顔を忘れることなく邁進してまいります。

持続可能なまちづくりについて

 青年会議所が目指している「明るい豊かな社会の実現」とは社会課題を解決することで持続可能な社会を実現することであり、このまちに住み暮らす私たち一人ひとりのまちを愛する心や誇りといった郷土愛を溢れさせることが持続可能な倉敷へとつながっていくと考えます。白壁のまち、文化のまちとして有名な倉敷は、全国的にも有名な観光地である一方、西日本有数の工業都市でもあり、繊維産業の他、農業や漁業など様々な産業を有しています。また、穏やかな瀬戸内海式気候で自然環境にも恵まれており、暮らしやすい都市機能と恵まれた自然環境が共存し多種多様な魅力を包括し、進化し続けています。
 持続可能な倉敷を創るためには、物質的なものや形として見えるものだけでなく、地域の魅力を再発見し、倉敷の魅力として創造し発信して、郷土愛を育み続けなければいけません。まちを形成しているのは人です。この地域に住み暮らす人に愛着心や関心、誇りをもてる機会を提供することで、郷土愛が溢れるきっかけとなると確信しています。そして、そのためには、行政や他団体とのパートナーシップを構築していくことも重要です。様々な人と手を取り合うことでその想いは伝播され、その輪が広がっていくのではないでしょうか。私たちの愛するまちに郷土愛が溢れ、持続可能なまちへと発展していく仕組みづくりを行ってまいります。

人間力の向上について

 日本は島国であるため最も同質な民族の国の一つだと言われており、そのせいか多様性や個性が活かせれることを良しとはされない古い文化のなごりが残っています。しかし、人種や性別、感じ方、考え方は人それぞれ異なり、日本も多様性にあふれているのが現実です。多様性が認められていない社会では、常に誰かが犠牲になり、狭い選択肢の中で肩身の狭い思いや苦しい思いをしてしまっているのではないでしょうか。
 人には人種や障害、性別といった生まれ持った特徴である表層的ダイバーシティに加え、考え方や感じ方、得意、不得意といった一見わかりにくいがとても重要な個人の内面的な特徴の深層的ダイバーシティが存在します。個人の特徴を互いに認め合い、相手を受け入れることで新たな価値観を生み出すことができます。結果、ひととしての枠が広がり、更なる人間力向上へとつながるものと信じています。そして、地域全体の多様性が広まることによって、ひとや価値観の新たなコラボレーションが生まれ、新しい発想や変革のきっかけとなり、一人ひとりの個性が輝き、笑顔があふれ、誰一人取り残さないまちへと発展していきます。独創性や創造性を持った人財や横並び意識にとらわれることなく、チャレンジ精神に富んだ人財育成につながる事業を展開してまいります。

青少年の健全育成について

 社会の変化は加速度を増し、将来の変化を予測することが困難な時代となりました。私たちの生活は物質的にはとても豊かになりましたが、少子化や核家族化が進行し、子ども同士が集団で遊びに熱中し、時には葛藤しながらお互いに影響し合う機会が減少するなど、様々な体験の機会が失われています。また、都市化や情報化の進展により子どもたちの生活空間にも変化が起こり、自然や広場などといった遊び場が少なくなる一方で、テレビゲームやインターネットなどの室内での遊びが増え、子どもたちの取り巻く環境の変化によりコミュニケーション能力の低下や人間関係の希薄化が進み、深刻な問題となっています。
 これからの時代を生きる子どもたちが成長し、自立するうえで必要となる、生きる力を育むには、実現や成功などのプラス体験はもちろんですが、葛藤や挫折などのマイナス体験も含め多様な体験に挑戦することが必要不可欠です。そして、自分の良さや可能性を認識するとともに、他者を尊重し、多様な価値観を受け入れることで豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手へと成長する機会を創出する必要があります。未来を担う子どもたちために、家庭や地域などと連携・協働し、地域社会全体で、夢や希望に溢れ何事にも挑戦する心、自分自身を好きになるだけでなく相手を想いやる逞しい心を養い、子どもたちの生きる力を育む運動を展開してまいります。

例会運営と組織内の交流について

 青年会議所の基盤を強化し、より良い運動を行っていくためにも会員同士のつながりはとても重要です。新しい価値観に触れ、お互いを尊重し合うことで信頼関係を築いていくことができます。しかし、普段それぞれの異なる委員会で活動しているため、会員が一堂に会する場は、年間で考えると限られた回数しかなく、その貴重な場の一つが例会です。倉敷青年会議所として、一体感を持って運動を進めていくことを確認するだけでなく、会員同士が情報交換し同じ時間を共有することができる大切な場です。また、対外に向け青年会議所の運動を発信し、より良いまちにしていくための仲間を対内だけでなく、対外にもつなげていくことができます。例会を義務と捉えるのではなく貴重な機会と捉え、その機会を十二分に活かしていただきたいと考えます。
 近年、新型コロナウイルスの影響で実際に会って集まることが困難とされ、歩みを止めないためにもオンラインを活用し、活動した時期もありました。オンラインはとても便利なツールで情報共有をすることはできますが、会員同士の交流を深めるには実際に対面することに勝るものはないと改めて気付かされる機会にもなりました。状況を見極めながら最も適切だと考えられる手法を用いて会員同士のつながりを深め、より強固な組織へと成長できるよう努めてまいります。

新会員の研修について

 研修期間の半年間というものは誰にとっても特別な時期だったのではないでしょうか。新たな仲間と出会い、新たな価値観に触れ、新たな経験をする。緊張の場から学ぶだけでなく緩和の場からも多くの学びがあります。青年会議所の基礎となるこの期間にどれだけの経験ができるかは、今後の青年会議所活動に大きく関係してきます。青年会議所の最大の魅力は、様々な成長の機会を与えてくれる場であり、心から信頼し合える仲間と出会える場であると考えます。この出会いと経験は、人生において必ず糧となります。この素晴らしさを伝えていくのは、私たち正会員の使命です。その手段は様々で、機会を提供することや自分たちの経験から伝えていくことも重要ですが、JCIや日本青年会議所が用意している学びの機会やツールであるJCプログラムやセミナーを最大限に活用することで青年会議所活動に限らず社業にも活かすことができます。また、入会の動機は人によって様々であり、置かれている立場も価値観も異なります。卒業までの目標も人によって異なりますが、地域のリーダーとして進むべき方向は皆、同じです。同じ方向へ向かってともに歩んでいくために、青年会議所の理念や本質的な価値に共感してもらうことで、青年会議所が好きになり、互いを想い、能動的に行動できる人財へと成長していくと考えます。そして、私たち一人ひとりが自己成長することがより良いまちの発展へとつながっていくと確信しています。

会員の拡大について

 青年会議所に入会して一番の宝は、仲間との出会いです。また、どれだけ想いがあっても一人でできることは限られるため、青年会議所運動や活動を行っていくうえで同じ志を持ち、ともに活動する仲間の存在は必要不可欠です。
 日本全体をみた場合、この10年、新入会員の人数は増えており、卒業生の人数はほぼ横ばいとなっています。しかし、1994年の約7万人をピークにその後、会員数は増加しておらず、現在の会員数は3万人弱と減少しており、成長と発展の機会を得ることなく退会していく会員の割合が増加傾向にあることがわかります。では、どうしてこんなにも素晴らしい団体であるのにも関わらずこのような問題が起こってしまうのでしょうか。この問題を解決するには、青年会議所の理念が浸透した組織を構築していく必要があり、それにより会員拡大だけでなく退会者の減少にもつながると考えます。会員拡大は組織の存続や運営のために行うわけではありません。個性が輝き持続可能な団体へと進化し続けていくためにも、ともに挑戦する仲間との出会いを求めて、一人ひとりが青年会議所運動の理念を理解し、そして、共有し伝播してまいります。

広報活動について

 広報活動というものは、単に青年会議所の運動を発信し、集客するために活用するものではありません。私たちの愛するまち倉敷をより良いまちへと変化していくためには、倉敷市民の認知と賛同、そして、参画が必要不可欠です。私たちの運動や活動、それらに対する想いを発信することでその想いが市民へと伝播し、意識変革が起こり、まちの発展へとつながることこそが広報活動で最も大切な役割であると考えます。
 情報通信技術の著しい進化に伴い、情報を発信するツールは多様化し、現在はSNSやWEB、メディアを活用していますが、情報過多の時代となった今、興味関心を持たない人へ情報を届けることは困難です。今まで実践してきたことを自ら評価し、分析を行い、時には取捨選択し、より効果的な方法を求めて挑戦していくことで今まで以上に多くの人へ青年会議所の魅力を届けることが可能となり、ひいては倉敷青年会議所のブランディングへとつながっていきます。一人でも多くの市民に魅力ある団体であると感じていただき、信頼を高められるような組織としての広報活動を図ってまいります。

組織運営について

 新型コロナウイルスの影響によりそれまで当たり前だったことが当たり前ではなくなるなど、私たちの生活は急激に変化しました。青年会議所においても生活環境の変化に対応するために、WEBを取り入れて新しい形の会議や非対面型事業の実施などいかなる状況でも活動・運動を行ってまいりました。しかし、デジタル社会の発展により便利になった一方で大切な部分が薄れてしまったことも事実です。総務は、組織全体に関わる業務を担っており、まさに縁の下の力持ちです。ルールを一度守れなくても大きな問題とならないかもしれませんが、その積み重ねによって組織は弱体化していきます。規律を意識した厳格な諸会議や組織運営を行うことが求められており、そこから生み出される効果の高い事業と会員一人ひとりが能動的に活動できる環境の構築を後押しする体制が確立されることで、より効率的な組織運営につなげることができます。情報共有を行い、各委員会と密に連携をとり横のつながりを強固なものとするだけでなく、各種事業への参加参画意識を高めることで、組織の結束力はより高まると考えます。また、公益社団法人格を有する団体として、健全で透明性のある組織運営を行うために管理体制や内部統制を強化し、長期的に組織の価値が増大することを目指します。課せられた担いを自主的かつ的確に遂行しながらも、より良い組織へと成長するよう責任と自覚をもって、主体的に時代に合わせた組織運営を努めてまいります。

青年会議所間の交流について

 新型コロナウイルスの影響により、他の青年会議所との交流の機会がここ数年減少しており、この機会の損失は計り知れないものがあります。明るい豊かな社会の実現という共通の目的のもと異なる国や地域で活動している仲間との交流は、LOMや自分自身を客観的に見つめ直し、異なる価値観や新しい考え方を知るきっかけとなり、LOM内では得られない新たな気付きや学びを得られるだけでなく刺激を受けることができる最高の機会でもあります。
 倉敷青年会議所は1965年に山形青年会議所と、1985年にハワイホノルル日系人青年商工会議所と姉妹縁組を締結し、長きにわたり交流を行っております。締結当初の時代を考えると締結に至るまでの苦労は大変なものだったと考えます。先輩諸氏が築き上げ、長きにわたり継承されてこられたこの素晴らしいつながりに感謝の気持ちを忘れてはいけません。そして、決して途絶えさせてはいけません。また、児島青年会議所、玉島青年会議所とは同じ倉敷に存在する貴重なLOMであり、3JCとして友好関係を築いてきました。各青年会議所の特色を活かしながら同じように倉敷を愛する3JCだからこそできる事業を合同で展開してまいります。そして、姉妹JCや友好JCに限らず同じ志を持って活動している仲間との交流を通じて友情を深め、お互いに切磋琢磨し成長し合える関係を築いてまいります。
 倉敷青年会議所を代表して出向という新たな機会に挑戦することによりかけがえのない仲間と出会い、視野が広がり、人生を豊かにしてくれるでしょう。そして、得られたものを自分のため、倉敷青年会議所のために活かしていただくことによりLOMの活性化につながるものと確信しております。

結びに

 今日もこうして青年会議所活動を行えているのは多くの人のおかげです。家族や社員への感謝、ともに活動する仲間、68年という歴史を創りあげてきてくださった先輩諸氏への感謝の気持ちは決して忘れてはいけません。そして、その気持ちを常に言葉にして伝えていきましょう。
 人生は挑戦の連続です。挑戦する前から無理だと決めつける先入観を捨て、人に語りたくなる社会を目指し、未来を生きる世代の笑顔を想い、私たちが考える夢や希望に溢れた持続可能な社会へとつながる大胆な政策を実行してまいります。決して一人ではありません。必ずそばで支えてくれる仲間がいます。未知へと挑戦をする心、仲間を想い互いに認め合い、支え合う心が合わさった時、一つのチームとして輝きを放ち、最大限の力を発揮することができると確信しております。

私たちには倉敷のまちをより良くする運動を起こすという使命があります。

愛するこのまちの明るい豊かな未来のため
まちの名もなきヒーローになりましょう